
スタイルチェンジだけじゃない
「雰囲気を変えたいんです」
そう言ってお店に来られるお客様は多いです。もちろん、大きく変化することで気分が上がったり、新しい自分に出会えたりすることもあります。でも僕は、この仕事を続けていく中で、ある考えに行き着きました。それは「変えることだけが提案じゃない」ということです。今日は、無理に変えないという選択について、僕なりの思いを書いてみようと思います。
「変える」がゴールになっていないか
美容師という仕事柄、どうしても「新しい提案をしなければ」という気持ちに駆られることがあります。お客様の要望を聞きながらも、頭のどこかで「もっと変化をつけられないか」「もっと印象を変えられないか」と考えてしまう。これは決して悪いことではありませんが、時々立ち止まって考えるようにしています。「この方は本当に変化を求めているのだろうか」と。
実際にカウンセリングを重ねていくと、「変わりたい」という言葉の裏に、「今の自分にちょっと自信が持てない」という気持ちが隠れていることがよくあります。この場合、必要なのは劇的な変化ではなく、今の自分をもう一度好きになれるような、小さな後押しなのだと感じています。
変化ではなく、肯定という提案
たとえば、ずっと同じ髪型を続けているお客様に対して、「そろそろ変えませんか?」と提案するのは簡単です。でも、その方が長年同じスタイルを続けているのには、必ず理由があります。仕事上の都合、家族からの評判、単純にその髪型が一番自分らしいと感じているから――。
お客様の相談内容別「変える提案」と「肯定する提案」
| 相談内容 | 変える提案 | 肯定する提案 |
|---|---|---|
| 長年同じ髪型 | 変える 印象を変えるスタイルチェンジ | 肯定 今のバランスを活かした微調整 |
| くせ毛の悩み | 変える ストレートで真っ直ぐに矯正 | 肯定 くせを活かすカット・スタイリング |
| 白髪の悩み | 変える 白髪染めでしっかり染める | 肯定 グレイヘア移行・ハイライトでぼかす |
| 「変わりたい」という言葉 | 変える 大胆なイメチェンを提案 | 肯定 似合っている部分を言葉で伝える |
そういう時、僕は無理に変化を勧めません。代わりに、「その髪型、〇〇様にすごく似合ってますよね。今のバランスを活かしながら、もう少し扱いやすくする方法を考えてみましょうか」というように、今のスタイルを否定せず、肯定した上での微調整を提案するようにしています。これは変化ではなく、肯定という提案です。
くせ毛やクセを「直す」のではなく「活かす」
特に強く意識しているのが、くせ毛や髪質の悩みに対する向き合い方です。多くのお客様が「このくせ毛をなんとかしたい」「まっすぐにしたい」と相談してくれます。もちろん、ストレートパーマなどの技術でその要望に応えることもできます。
でも、その前に必ず聞くようにしていることがあります。「そのくせ毛、活かすという選択肢もありますが、どう思いますか?」と。くせ毛を無理に矯正するのではなく、そのくせを活かしたカットやスタイリング方法を提案することで、コンプレックスだったものが個性に変わることがあります。長年「直したい」と思っていたものが、「これも自分らしさなんだ」と思えた瞬間のお客様の表情は、何度見ても忘れられません。
白髪も、隠すだけが正解じゃない
白髪についても同じことが言えます。白髪染めを希望される方は多いですが、中には「本当は染めたくないけど、周りの目が気になって染めている」という方もいらっしゃいます。そういう方には、白髪を活かすグレイヘアという選択肢や、白髪をぼかしながら徐々に移行していくハイライトの方法など、無理に隠すのではない選択肢もお伝えするようにしています。
大切なのは、僕が答えを決めることではなく、お客様自身が「自分はどうありたいか」を選べるように、選択肢を用意することだと思っています。染めるのも、染めないのも、どちらも正解です。
「変わらない安心感」も、立派な価値
美容業界にいると、つい「変化=価値」という考え方に偏りがちです。ビフォーアフターの写真が分かりやすいほど評価されやすいのも事実です。でも実際にお客様と向き合っていると、「変わらないことへの安心感」を求めている方も、想像以上にたくさんいることに気づかされます。
変化を提案する時
- 気分を一新したいという明確な要望がある
- ライフイベント(転職・引っ越し等)がきっかけ
- 今のスタイルに扱いにくさへの不満がある
変えないことを提案する時
- 今のスタイルに根強い理由・こだわりがある
- 「変わりたい」の裏に自信のなさが見える
- 変わらない安心感を求めている
いつも同じ髪型で来店してくれるお客様が、「ここに来ると、いつもの自分に戻れる気がする」と言ってくれたことがあります。この言葉を聞いた時、変化を提供することだけが美容師の仕事ではないのだと、はっきり感じました。変わらない安心感を守ることも、立派な提案のひとつなのだと思います。
今の自分を好きになるための、小さな後押し
僕がお客様に提供したいのは、劇的な変身ではなく、「今の自分でいいんだ」と思える小さなきっかけです。似合っている部分をきちんと言葉にして伝えること、コンプレックスだと思っていた部分の魅力を一緒に見つけること、無理に変える必要はないと伝えること。こうした積み重ねが、お客様の自己肯定感を静かに支えていると信じています。
鏡の前に座った時、「変わった自分」に驚いてもらうことも嬉しいですが、「今の自分、悪くないな」と思ってもらえることの方が、実は僕にとって何よりのやりがいです。
おわりに
無理に変えないという選択は、消極的な提案ではありません。むしろ、お客様一人ひとりとしっかり向き合い、その人らしさを見極めた上でしかできない、積極的な提案だと僕は思っています。
これからも、変化を提案する時も、変えないことを提案する時も、その根っこにあるのは「今のあなたを、もっと好きになってほしい」という気持ちです。ハサミを握るたびに、その思いを忘れずにいたいと思っています。
谷口 雅門
こんにちは!ゼロテクカラー特化型美容師の谷口雅門です。
頭皮にカラー剤を直接つけない「ゼロテク」技術を用いて、頭皮への負担や刺激を最小限に抑えながら、美しくツヤのある髪色を実現します。
敏感肌の方や、ジアミンが心配な方・将来の白髪予防など、頭皮の健康が気になる方に特におすすめです。お客様の髪質やライフスタイルに寄り添ったご提案をさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください!
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